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「赤いおおかみ」 2009/ 1/23(金)



2001年に購入したドイツの絵本です。
「赤いおおかみ」とは、狼に育てられた赤い毛の犬、小さくて勇敢な 「ノーリッチ・テリア
(NORWICH TERRIER)」のことなのです。 彼の一生を描いた絵本です。

http://www.jkc.or.jp/modules/worlddogs/entry.php?entryID=70&categoryID=3

クリスマスの日、暖かいお家にもらわれていくはずの子犬が、馬車から転げ落ち、狼に救われます。
誇り高く賢いお母さん狼に育てられた彼は、大きな体の兄弟の中にあって、知恵を使い、
群れの中で一番尊敬される狼にまでなるのです。
その後、お母さん狼は、罠にかかり、彼は、お母さん狼を
「全ての狼の父とその子孫が眠っている谷底」へと引きずって連れて行くのです。
が、絶壁の淵で、狩人に追い詰められ、母は、谷底へ、彼は、銃弾に倒れます。
彼は、死の淵から、通りかかった人間の女の子、オルガに助けられます。
彼は、今度は、犬として生きて行きます。 
オルガに愛され、オルガを愛して生きて行きます。
でも最期は、狼として誇り高い死を選択するのです。

絵本の作者、挿絵は、「フリードリッヒ・カール ヴェヒター」 です。
ドイツで最も才能のあるグラフィックデザイナーの一人らしいです。
又、子どもの本と絵本の分野でも最も才能のある作家の一人だと!
絵のタッチの素晴らしさ、淡々とした文章、さもあらん・・・と思わせます。 
私の好きな絵本の一冊でもあります。

この絵本の帯は、ノンフィクション作家である、柳田邦男さんがコメントを書いています。
表紙のワンコの可愛さもさることながら、私は、このコメントにも惹かれました。
『 生きるとは、こんなにも厳しく大変なことなのだ。
しかし、それだからこそ勇気や愛が美しく輝くのだ。
ここには、孤独、愛、勇気、悲しみ、怒り、戦争と平和、
そして「生と死」の全てが深く語られている。
長編小説を読み終えた時と同じ充実した感動がある。
作者の構想力は、素晴らしい。』


久しぶりに本棚から引き抜いて読んでみたら、(┯_┯)うるるでした。
野生の中で生きていくことの厳しさ、生きていく上での智恵や、勇気、逞しさ・・・強い愛・・・
そして、「死に対する尊厳」も描かれています。
犬として生まれ、狼として生き、死の淵から、人間の女の子に助けられ、
狼に育てられた犬とレッテルをはられながらも、女の子と幸せに暮らし、
でも年老いた最期は、狼として、「全ての狼の父が眠っている谷底」へ飛び込んで行く。
かっと目を見開いて飛び込んで行く。 勇敢に飛び込んで行くのです。
何て誇り高く強い「赤い狼=ワンコ」なのでしょう!!
こんなにも厳しく、こんなにも誇り高く美しい「死」があるのだろうか・・・
「生」の対極に「死」があるのではないのだと・・・そう感じ、胸が熱くなります。(T_T)
「立派に生き、立派に死ぬること」は、こんなにも美しく輝いているのだと!!
彼は、「狼の父が眠っている谷底」へ飛び込みながら、
「ぼくは、ぼくの長いすばらしい、そして豊かな一生を振り返って、嬉しかった。」と、結んでいます。
自分の人生を「豊かな」と称せる人生は、なんと素晴らしいことでしょう!!
羨ましくもある彼のワン生です! 否、「狼生」です!!
それにしてもヴェヒターの描くノーリッチ・テリアのなんと逞しく、健気なことか!!
ウエスにもお顔は似ています。 めちゃくちゃ愛しく感じます♪(//∇//)
ギュッ!と抱きしめたくなります!


家庭犬のMoomin、野生のような厳しい「生」は、感じることなく、ぬくぬくと生きていますが、
「死」と直面した時、彼のように 自分のワン生を振り返った時
「嬉しかった!!」と回想してくれるでしょうか???
「幸せだった!」と思ってくれるでしょうか???
そう思って旅立ってほしい・・・
そうムーが思えるように・・・飼い主として頑張らなくちゃ!!
オルガのように、「生と死」というものと真摯に向き合って生きて行きたい。
その時が来たら、オルガのように、「死」、「生命」に深い尊厳を抱きながら、
どんなに淋しく辛くとも、燐とした態度で、送り出さなくちゃ・・・
そうこの本を読み返し、心新たに思いました。
(なんて、出来るかな・・・不安・・・(T_T))

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