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コーヒーと短編

コーヒーによくあう、すこぶる面白い短編18編

コーヒーと短編
庄野雄治 編

2021年10月1日 発売
四六版変形・320頁・上製本
定価(本体1,300円+税)
ISBN978-4-910215-06-8

カバーモデル 安藤裕子
写真 大沼ショージ


コーヒーによくあうすこぶる面白い小説集、待望の第3弾
安藤裕子の書き下ろし短編小説を含む、珠玉の18編を収録


近代文学に造詣が深く、『コーヒーの絵本』の著者で徳島の人気焙煎所アアルトコーヒー庄野雄治が、コーヒーを飲みながら読んで欲しい短編を厳選しました。大好評を博した『コーヒーと小説』『コーヒーと随筆』の姉妹書、本シリーズの第3弾完結編。今作もカバーモデルに、作品に登場する魅力的な女性の象徴としてシンガーソングライター・安藤裕子さんを起用。そして、本シリーズの締めくくりとして安藤裕子さん書き下ろしの短編小説「謀られた猿」を収録。その他、古典落語「死神」の原案になったグリム童話、小学校を舞台にしながら現代社会を描いたような谷崎潤一郎の隠れ名作、多くの著名人も愛読書としてあげる小川未明の童話から随一の傑作と誉高い作品など、すこぶる面白い短編を18作選り抜き、シリーズ最高傑作が完成しました。



◎掲載作品(掲載順)
「桜桃」太宰治、「越年」岡本かの子、「西東」坂口安吾、「死神の名づけ親」グリム童話 金田鬼一・訳、「団栗」寺田寅彦、「蜜柑」芥川龍之介、「水仙」林芙美子、「夕焼け」吉野弘、「耳かき抄」木山捷平、「プールのある家」山本周五郎、「一ぷく三杯」夢野久作、「笑われた子」横光利一、「檸檬」梶井基次郎、「メロン」林芙美子、「赤い蝋燭と人魚」小川未明、「一房の葡萄」有島武郎、「小さな王国」谷崎潤一郎、「謀られた猿」安藤裕子


◎庄野雄治(しょうの・ゆうじ)
コーヒーロースター。徳島県生まれ。大学卒業後、旅行会社に勤務。2004年に焙煎機を購入しコーヒーの焙煎を始める。2006年徳島市内に「アアルトコーヒー」を、2014年同じく徳島市内に「14g」を開店。主な著書に『誰もいない場所を探している』『たぶん彼女は豆を挽く』『徳島のほんと』(福岡晃子との共著)『コーヒーの絵本』(平澤まりことの共著)、編書『コーヒーと小説』『コーヒーと随筆』、短編小説集『たとえ、ずっと、平行だとしても』がある。


 本にはいろいろな読み方がある。小説を読んだ後には、詩が読みたくなる。随筆や童話や評論、全く異なる何冊もの本を並行して読むこともある。短編小説を中心に、随筆や詩や童話などが並んでいたら、それはとても素敵じゃないか。一編一編は短いけれど、強弱とリズムのある自由な一冊。そして、それがコーヒーに合わないわけがない。コーヒーも本も、決まりはなく自由に楽しむものだ。
 有名だけれど意外と読まれていないものがあるし、読んだけれど心が動かなかったものもある。たとえば、国語の教科書に載っていた小説や随筆や詩や童話。教科書に載っているからどうせ面白くないだろうと、端から決めていたふしが私にはあった。だけど、今回選んだ作品の多くが教科書に載ったことがあると知り、自分の思い込みが可笑しかった。いい作品は教科書に載るし、きっと今も載っているはずなのだ。これは有名だからとか、みんな知っているからやめておこうとか、そういうことは一切なし。今の自分が読んで、面白いと思った作品を純粋に選ぶことにした。
 そして、本シリーズのカバーモデルをつとめてくれた、シンガーソングライター・安藤裕子さんの作品を、締めくくりに選んだ。言葉の選び方や構成はもちろん、何より強弱とリズムが素晴らしい。これからきっと、音楽だけでなくたくさんの著作を発表していく方だと思う。本書に、安藤裕子さんの書き下ろし短編小説を掲載できたことを光栄に思う。
 私はずっと、同じことしか言っていない。新しいも古いもない。いいか悪いか、それだけだ。そして、いいものを次へ渡していくのが大人の役目。受けたバトンを次の人に渡す。それが人の使命だ。そして、私がいいと思うものが全てではないし、違うと思う人がいて当然だ。否定でも肯定でもない、たくさんの人のいいものが至るところで渡される世界になるといいなと思う。あなたに、先人たちのバトンが届きますように。
(「はじめに」より)