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2つ以上の異なる旋律を同時に弾く 金子一朗 2012/ 4月 2日(月) 21:12
 多くの場合、声部の多さを苦労せずに表現できることだけでもハードルが高い。たとえば、バロック時代に想定されている鍵盤楽器は多くの場合チェンバロであり、それに適した運指で演奏可能なように書かれているが、打鍵する強さやスピードで音量が原則的には変化しないチェンバロに比べ、モダンピアノは大きく変化するため、ちょっとしたポジション移動や運指、打鍵の角度が、音量や音色、音質の変化に大きく影響するため、チェンバロに最適な運指が、モダンピアノでは通用しない場合が多々見受けられる。従って、相当な工夫が要求される。4音からなる和音の響きのバランスを考えてみても、チェンバロの場合、どんな運指、どんなポジションで演奏しても、ほとんど響きは変化しないが、モダンピアノの場合、細心の注意を払わない限り、バランス良く響くことはない。また、モダンピアノでは、メロディーだけを強い音で演奏できるから、極端に言えば、たった1本のメロディーラインをフォルティシモで演奏することができるが、チェンバロの場合、音量は変化しないことから、作曲家は、同時に鳴っている音の個数が多ければ音量が大きく、少なければ音量が小さくなることを用いている。D.スカルラッティのソナタなど、チェンバロで演奏しても、チェンバロがあたかも強弱のつく楽器のように聞こえるが、それはこういった性質を巧みに利用しているからである。それは、バッハなど、他のバロック時代の作曲家も同じである。それをモダンピアノでも反映させないと、当時の作曲家が考えた強弱が表現されないことになる。(続)

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