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神に対する敬虔な気持ち 金子一朗 2012/ 4月 5日(木) 23:11
 ただし、フィグールについては、印象や象徴と密接に関わっているため、和声分析などに比べればとてもファジーなもので、上行音型はなんでもAnabasisであるとか、そういう単純なものではなく、様々な複合的な組み合わせによってできるものなので、昨今の楽曲分析は、多くの場合、調や和声やモチーフなどのような確定できる素材を元に、一部の人たちに即物的な印象を与えながらなされている。しかも、同じAnabasisでも、気分の高揚だけではなく、明るさや強さ、喜び、神に対する敬虔な気持ちなど、さまざまなものを表すため、解釈が分かれる部分もある。また、音楽は横の流れだけではなく、縦の響きの変化もあり、複数の声部の相互関係もあるので、フィグールを音型だけにとらわれすぎると、良くないこともある。演奏行為や視聴においては、直感を優先すべきだという人が多いことも知っているが、今述べた即物的に見える部分はごく一部のものであり、たとえば、僕の場合は、子供の頃から、いわゆるフィグール的な感覚をとても大切にしている。実は、音型だけではなく、調や和声や構造のフィグールも説明がつくわけであり、近現代では、その概念は失われたというのが定説であるが、むしろ、拡張され、個々の概念が融合、統合され、個々の概念自体は希薄になったが、フィグール自体は厳然と存在し続け、結果として多くの複雑な感情表現が音楽でなされていると思う。(続)

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