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夏の計算練習 三枝乎 7月30日(火) 14:46
「夏の計算練習」

ゆかりは夏休みに入ると すぐ祖父の家に預けられた小1の僕のいとこです。
おばのつわりがひどく、点滴をうけなければいけない状態で 宿題どころか食事の支度も大変なため 2才のいとこは静岡のおじいさん宅に預け ゆかりは富士に来ることになりました。
夏休みの夜 絵日記 朝顔の観察 読書感想文 貯金箱など沢山の宿題。
姉妹を別々に預け 親が手伝わなければ終わらない宿題から片づけてほしい、と おばから頼まれました。
祖母 母 僕と3人がかりで面倒を見ることになりました。
 僕がみてあげることになったのは たし算ひき算でした。54枚のカードに「2+7」「1+3」など合計が10までの足し算と 「10−5」 「3−2」など ひとケタのひき算です。
学校からのプリントを見ると(月日、やった回数、一番早くできた時間)をそれぞれ書き込むようになっていました。
足し算6分30秒 ひき算8分と記入してありました。
おじ、おばが一日はみてあげたようでした。
一年生は何分位が普通だろう?聞くと友達は2分台で終えると言っている。すると祖母は「みんなそんなに速いの!じゃあ ここで練習して せめて3分代にしてあげないと・・・」と ちょっと困った顔をしました。
ゆかりは何をみているのか、外の方に眼をやってゴロゴロと寝転がり祖母の声が聞こえていないように見えました。

三枝乎 7月30日(火) 14:47
外で遊ぶのが大好きなゆかりは 元気に庭でせみとりをした後 早速計算の練習を始めました。
僕が時計を見て母がカードを一枚一枚めくります。「3+5」のカードの時 右手を3、左手を5と出して 次に左手と右手を合わせて 目で一本一本数えます。「1,2,3、…8」と答えが出るまで15秒はかかります。
全部そんなで 速いのは「9+0」「7+0」など片方が0の時です。「9+1」なども速く言えました。
それでも6分かかりました。わからないと外を見て考えるふりをします。
祖母は「ゆかり、そんなに遅いからお父さんもお母さんも怒るんだよ。」と ちょっと怒っていました。
母が「小さい数の方を指に出して 大きな数を頭に入れて 続けて指を数えればいいのよ。」と教え 次からその練習をしました。
でもすぐ両手に数を出して 祖母に「大きな方を頭に入れて 片方に小さな数。」と注意されました。
母がカードをめくります。「5分20秒!」終わるとゆかりは「フー」と口で息をはき寝転がります。
「さあ もう一回やろうね。」と祖母。僕がやめなと注意してみると祖母は菓子を持ってきて
「早くなったね。あとでまたやろうね。」と優しく言いました。
それから一回終わるごとにアイスや菓子など食べ物でつり たし算が3分50秒、4分15秒、3分7秒と5分を確実に切るようになりました。
そこで今度は引き算をやることにしました。
引き算は頭に入れる数は関係なく 広げた指の数から引く数の指を折り 残った指を数えます。
5分25秒、4分40秒、5分。タイムが縮まってくるわけではないけれど だんだん自信をもって大きな声で答えを言うようになりました。
お菓子がなくても「もう一回やろう」と母が言うと素直に受けます。
「4分15秒」  指を出すのも 折るのも速くなりました。
「お母さんがびっくりするね。」と祖母もニコニコして言いました。
「ただの時計よりストップウォッチの方が正確でいいと思う。」

三枝乎 7月30日(火) 14:48
と言ったので 次の日 支度しておいたストップウォッチを持ち「ヨーイ。」と言うと それを珍しそうに見ながらニコニコしていました。
「ドン。」のかけ声と共に又右手と左手でたし算を始めました。
祖母がゆかりの頭をチョコっとこずきました。「やめなよ。」と僕。
「そうよ。怒って算数嫌いにしたらよくないわ。遅くても楽しいと感じさせなくちゃ。」と母。
時々ゆかりは両手の指を出して「アレー 間違えた。」と言って祖母の顔を見てもう一度やり直した。

たし算は3分31秒、25秒、32秒と3分代となりました。その度に皆でほめました。ゆかりは鼻の穴を大きくして得意そうでした。
「3分をきりたいから又やるう。」
僕は「もうこの位できればいいんじゃないの。」と言いましたが「勉強の嫌いなこの子がいうんだから3分きるまでやってあげて。」と祖母が小さい声で言いました。
いつまでやることになるか、と思いながら始めの声をかけました。
疲れてボーッとしていると 終わり、というかけ声と共に二人で僕を見ました。あわててストップボタンを押すと「2分58秒。」びっくりしました。祖母が眠っていたらしく「ええっ2分代になったの。」と驚いたように言うと
 ゆかりはすごく得意そうに「そうだよ、2分58秒だよ。やったぁ。」と本当にうれしそうでした。
たし算を主にやったのですが、ひき算も4分を切り3分43秒と やっと3分代になりました。
「ねっ、やればできるんだよ。」と祖母が言いました。ゆかりは遊びたくて仕方がなく、祖母の声を背中で聞いて庭へ飛び出していきました。その次の日、祖母や母の都合で ゆかりは清水に帰りました。
電話で祖母は、計算カードのことを聞いたことがあったらしく、僕に
「私たちが面倒みて速くなったけど、清水に帰ったら一度もやってないんだって。8月になったら又来るから頼むね。」と言いました。ちょっといや気がさしました。
でも初めて教えた時はグタグタ寝転がって指も曲げていたのに 今は指をまっすぐにのばし、
大きな声で「イチッ!ロクッ!」と答えるようになりました。
数字を見れば答えが出る僕達には 難でこんなに面倒なことをして、と思うけど 最初は皆 こうだったんだなと感じた、夏休みの手伝いのひとこまでした。
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