2014年8月31日 (Sun)

たおやかな風



少しづづ秋の気配を感じるたおやかな風が作業台を吹き抜ける

ふと仕事の手を休めて見上げる空の青さ 水色とも青とも蒼とも違う秋色の空

10月生まれとは無関係にしても秋は一年で一番大好きな季節

日高の暮らしには都会の喧騒も華やかさもないけれど

緩やかに流れる時間に身を置くといつしか心も静かに静かに時を刻む

母のいる施設の窓からは遠くに秩父の山並みの景色が額縁のように切り取られ

無機質なコンクリートの壁を和らげてくれるかのように風に木々が揺れている

明日という日

わたしたちを取り巻く自然環境の中で 必ず 来るという確証はない

だからこそいまを丁寧に生きるという意味が問われるのかもしれない

母のつぶやく声にならない声の中に

ありがとうともごめんねともとれるような小さな声に頬擦りする

いろんな方々に支えられて今を生きられること

沢山の心配で生きるより澄んだ空気の空を見ている幸せを大切にしたい

母と見る木立の緑が目に染みるほど鮮やかで眩しい

車いすの母は前だけを見つめて振り向くことは決してない

その背中に感謝をこめて  ありがとう と思う秋

歳を重ねて見えてくる  親の想い  子の想い  

秋は少しだけセンチな想いの風まで運んでくる気がします 
2014-08-31 00:21 in | Comments (6) #

2014年8月26日 (Tue)

たまごのきもち わたしのきもち



粉粉ぱんに使うたまご探し 

たまごかけご飯に合うたまご  

驚くほど黄身が濃い高価なたまご

烏骨鶏のたまごに名古屋コーチンのたまご

一個80円のたまごは高いのか 安いのか 美味しさは値段に比例するのか否か

日高に来てから試験的にどれだけのたまごを使ったのか分からないくらいのたまご探し

ぱん屋時代は神奈川県の七国峠で放し飼いの自然卵を

お客さまや生徒さんと一緒に購入していたのでなんの苦労もなかったけれど

粉粉ぱんに使うたまごは使用頻度が少ないので買い置きせず必要な時に新鮮なものを買うことに

しかしそのたまご探しは本当に 難儀 難儀

地元の農協では何種類ものたまごが陳列してあっておすすめも人それぞれ 

黄身が濃いとぱん生地が黄色くなる 白っぽいとコクがない

やっとこれならばと見つけた放し飼い鶏の自然卵たまご

ようやく肩の荷がおりました ほっ です

試験的に使った100個以上のたまごの行方 。。。。 

全部シフォンケーキに化けました  我ながら賢い選択 一個たりとも粗末にできません

たまごのきもちも大事  わたしのきもちも大事 

でももっと大事なのは粉粉ぱんが美味しく出来るかどうかで妥協はできません

たかがたまご  されど  たまご おっきいのからちっちゃいのまで本当に綺麗です

思い出すのはぱん修行時代に師匠がおっしゃった忘れられないお言葉

「腕が未熟だからこそ いい食材といい道具に助けてもらいなさい」

上手くなったらいいものを購入しょう それまでは安物でがまんと思っていたので

師匠のお言葉は目からウロコが何枚も何枚も落ちました

安価な道具は 安物買いの銭失い 本当に諺通り 

師匠からぱん作り以外のことを沢山教えていただいたのだと改めて感謝です

ぱん作りの道は長くて険しいけれど何事も手抜きをしないで丁寧に丁寧に

暮らしのすべてがぱん作りに繋がっていく

今までのぱん  今のぱん  これからのぱん

迷っても 悩んでも 初心に立ち戻れる気持ちが大事

今日も 明日も 明後日も 毎日ゆらゆら揺れながら迷いながら

粉粉ぱんと一緒に歩いていける倖せを抱きしめてます
2014-08-26 00:13 in | Comments (4) #

2014年8月20日 (Wed)

ぱん屋のあしあと



新潟での ぱん屋時間 五年間の財産はぱんのレシピとお客様のご予約ノート

師匠から受け継いだぱんレシピとオリジナルぱんレシピの粉粉ぱん

小さな足跡 すぐに消えてしまうような儚い足跡

そんなぱん屋のあしあと 書き留めては修正を 繰り返し 繰り返し

夜が更けるのも忘れて綴った そんな時間が懐かしい 

週替わりで作る14種類 150個ほどのぱんの6割はお馴染み様のご予約済

沢山の方々に支えていただいた「幸せなぱん屋」でした

そんな時代の宝物レシピ 毎日少しづづ縮小版に作り替えてます

いつかこの小さなノートが日高の地で何かのお役に立てる日が来ることがあったらと

ささやかな小さな願いを込めて書き記して残したい

これからは日高からのぱん作りあしあと綴り

新潟と埼玉では気温も湿度もかなり違うので酵母起しも発酵も少しづづ違ってくる

そんなわたしの心配をよそに今日も「酵母さん」は元気にぷくぷくご機嫌です
2014-08-20 23:34 in | Comments (4) #

2014年8月16日 (Sat)

こころときめくもの


新潟で長年共に暮らした家財道具や食器を6割以上処分

手元に残したのはぱん教室用は別にしてわずかな漆器とお気に入りの器だけ

それでもぱん作り機材が8割を占めるキッチンに置き場がなく

やむなくチェストを食器入れとして活躍してもらうことに

取りあえずのはずが 。。。。。 なかなか使い勝手がよく

お茶用の引き出し  ガラスの引き出し  漆器用の引き出し 

それぞれに  ここに入るだけ  と決めてしまえば収まりがとてもいい

ここで暮らす物たちの条件はたった一つ  心がトキメクかトキメカナイカ 

これからの暮らしにいつもこころときめいてたいから選ぶ基準も慎重に

家中を風が通り抜けるようにすべての物たちに陽をあててあげたい

小さな暮らしの小さなこだわり 。。。。。 器も日光浴です 


キッチンではいつもお鍋がコトコト 本日はお豆と日高野菜の生姜スープ

残ったスープはブレンダーにかけてポタージュに

キッチンの湯気は小さな幸せの香りです 
2014-08-16 00:13 in | Comments (4) #

2014年8月10日 (Sun)

倖せひとつふえました



新潟でのぱん屋のお客様から

 「京都の手仕事の「ごまいり」です 二個買い求めましたので粉粉さんにも使ってほしくてお送りします」

京都の職人の技 見ていてほれぼれしてしまう美しい金網を頂戴しました

物づくり人の持つ繊細かつ緻密な手間暇を惜しまない姿かたちは見る人の心を魅了すること

そこには一切の誤魔化しも妥協もなく 伝統を受け継ぎつつ新しい命を吹き込む

物つくりもぱん作りも出来上がるものは違ってもそこにある本質は同じ

美しいもの 美しいこと ひとつひとつに手をかけて慈しんで仕上がるものに

同じ物つくり人として大切なことを学ばせていただきました

粉粉ぱんも食べてくださる方の心に寄り添って丁寧に丁寧に時間を紡ぎ

幸せな食卓でご飯のように食べていただけるぱんを焼き続けたい

お客様からいただいた宝物 「迷ったら初心に帰る」

これからの道しるべにさせていただこうと思います


昨日のぱん教室の生徒さんが作られた田舎ぱん画像

「ぱん作りは初めてなんです まったく何もわかりませんが教えていただけますか」

ご近所にお住まいで一年前に日高に転勤で来られたと伺いました

お教室用に前日から仕込んだ生地を丸めて二次発酵 クープを入れ Ovenで焼くこと15分

これがぱん作り初めてのぱん?? 綺麗なクープと形に二人で大歓声

粉粉ぱんが紡いでくれる素敵なご縁に感謝です

埼玉でも粉粉ハウスがみんなで集える温かな場所で在れますように。


2014-08-10 23:49 in | Comments (6) #

2014年8月5日 (Tue)

足さなくていいもの



暮らしの中の小さなこだわり  何を足して 何を引けば  いいのか

暮らしも ぱん作りも お菓子作りも  同じ視点で考えてみる

基本の粉粉ぱんの材料は 国産小麦 天然水 自然塩 天然酵母種 のみ

お菓子もまた必要最低限の分量で作れないのか 素人の考えで試行錯誤

17㎝のシフォンケーキ  オーガニック薄力粉と自然卵4個 有機豆乳

オイルなし 砂糖は30グラム程度  卵黄も卵白も使い切りサイズ

たったこれだけの材料なのに卵の力だけでふんわりふんわり膨らんでくれる

ぱんもお菓子も足さなくていいものは足さない

我が家のおやつはかざりっけのまるでないシンプルなものが一番似合う

他に足すものは生姜かはちみつ 引くものは手間と時間

ゆっくりゆっくり暮らすには毎日が足し算と引き算

のどかなローカル線のような埼玉暮らしの五ヶ月目です
2014-08-05 23:12 in | Comments (12) #